2005年3月 7日 月曜日
「セッション9」や「ワンダーランド駅で」のブラッド・アンダーソン監督による「マシニスト」を渋谷シネクイントで観てきました。別に映画を見に行った訳ではなかったのですが、前から興味があったので急遽劇場へ。
"machinist"は「機械工」という意味。主人公トレバーは365日眠れていない機械工の男。彼が何者かの陰謀によって奇妙な事件に巻き込まれていくのだが・・・。詳細は、観てのお楽しみです。
トレバー役のクリスチャン・ベイルはこの役の為に、30Kgの減量を行い極限状態のガリガリ男の姿を体現したそうな。凄すぎる。そして、やせていても格好いい。この映画はキャスティングが非常に絶妙で、その他の登場人物も全員はまり役でリアリティーがあります。
また、とにかく映像が素晴らしく、撮影監督のセンスに感心。陰影の深さとアングル、色合いの美しさが印象的で、シーンによる暖色系と寒色系の使い分けが良い。不眠症を表現した浮遊感のあるおぼろげな映像・編集も良い(特に後半)。ミッドセンチュリーな匂いのする小道具類も良い味付けになっています。音楽も古典的ながらそれなりに重厚で、押し付けがましくなく効果を果たしていて、好感が持てました。テルミンが使用されているのも効果的ですね。
ストーリーは終盤へ向かいどんどん謎が深まっていきますが最後で一気に解消され、話の途中では訳が分からなかった展開もつじつまが合い、納得のいくものに感じられます。一部では、オチが平凡であるとか、都合が良すぎるという人もいらっしゃるようですが、僕はなかなか画的にも話的にも洗練された美しいエンディングだと感じましたよ。人間の記憶の脆さやアイデンティティーについて考えさせられる作品です。
妥協が無く、すべてが本物といえる味わい深い映画。文句なしに星5つ!! [★★★★★]
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