2006年9月24日 日曜日
従来の常識の通用しない新しいタイプの怪獣映画。娘を怪獣から助けるお笑いダメ家族。
■シナリオ
パニックを家族・個人の視点から描いているところは、「宇宙戦争」や「サイン」と同様で、個の時代であることを象徴する、最近の世界的な傾向。ただ、本作の家族が他の映画と一線を画すのは、家族で立ち向かってしまうところ(ありえない!)。シリアスなシーンでものすごく間抜けなことをしでかしたりして、既存映画のセオリーは全く無視。ここ笑うところなのか?と動揺させてくれて、妙な方向に感情を押し出してくれるところは、斬新…というか、他に類を見ない。
物語の冒頭、怪物が産まれるきっかけとなる、アメリカ軍が漢江に薬品を流すシーンは、実際の事件をベースにしており、その他中盤でも在韓米軍への批判が込められているのは良いが、描き方が陳腐でどうも受け入れ難い。ここも典型を崩すように、わざと滑稽な感じに仕立てているのかもしれませんね。
エンディングもかなり微妙な気持ちにさせられます。物語が何か寓話的なものに感じられるエンディングですが、とくに何かの教訓を得られる内容ではないので、気持ちをどこへ落ち着けて良いのか分かりません。
■キャスト
ソン・ガンホ
パク・ヘイル
ペ・ドゥナ
ピョン・ヒボン
コ・アソン
特に、コメントが見当たらない…。ペ・ドゥナはかわいいと思います。
■音楽
音楽は、「箪笥-たんす-」、「スキャンダル」のイ・ビョンウ。この人の音楽は派手さはないものの、静かな存在感・雰囲気があります。メロディーが強いのかな。
おどけた感じの7拍子の表題曲が印象的で、物語の雰囲気を決めています。その他、各シーンで挿入されるオーケストラ楽曲は、古典的で懐かしさすら感じますがメロディー・ハーモニーとも美しく、地味に良い曲でした。このサントラは買いです。
グエムル-漢江の怪物 / Original Sound Track
■撮影
ざらついた質感でディティールは見えないが、雰囲気のある映像。怪獣の造形や動きはオリジナリティがあり、存在感・愛着を感じる。都市の表と裏(下水・橋下)の対比が面白い。美術は、「オールド・ボーイ」のリュ・ソンヒ。特殊効果/VFXは、ILM(Industrial Light and Magic)の元メンバーが設立した「ジ・オーファネージ」。
■まとめ
良くも悪くも、典型破りの映画です。予告編はシリアスな怪獣映画仕立てになっていますが、惑わされずニュートラルな気分で臨むとそれなりに楽しめるでしょう。斬新なのは確かですが、なにか観覧後の気分がスッキリしないので星2つ。
[★★☆☆☆] (2/5)
■関連リンク
・グエムル-漢江の怪物- 公式サイト
http://www.guemuru.com/
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