2006年10月29日 日曜日
1978年にドイツで裁判が行われた「アネリーズ・ミヘル事件」をベースにした映画「エミリー・ローズ」。ホラーというよりは、悪魔憑きと判断された少女の真相を、科学と信仰の立場から探る裁判映画でした。「グラン・サイバーカフェ バグース」でDVD鑑賞。
ローラ・リニー(エリン・ブルナー役)の重厚な演技とジェニファー・カーペンター(エミリー・ローズ役)の極力CGを使わないリアルな肉体演技が見所です。
以下、ネタバレ注意!
ホラー映画らしく霊現象の表現がありますが、そこよりも裁判の駆け引きの描写の方が興味深い。特にクライマックスで、悪魔払いを行った神父を弁護するエリンが、弁護側の提示する「立証できなくとも可能性が残る事象(死の原因は悪魔/信仰)」と検察側の「明らかに事実に反する事象(死の原因は科学的治療の中断)」を対比して、弁護側を優位にもっていくシーンは、アメリカの陪審員制度の中で、陪審員を説得するための手法として興味深く感じました。
ラストでは、陪審員・裁判官が大変機転の効いた評決を下し、社会的責任を追及し有罪判決としながらも、事実上求刑なしで神父を守ります。このシーンが非常に美しいのですが、実際の「アネリーズ・ミヘル事件」では、神父は過失致死罪で執行猶予付き懲役6ヶ月の判決となっています。世の中そんなに甘くないよね。
■まとめ
この映画で注意しなくてはならないのは、事実に基づいたフィクションであり、事実ではないという事。「これはホラーではない、事実である。」というキャッチコピーを真に受けてはいけません。これは、あくまでもプロモーション上の表現で、大きく脚色された事実というのが適切でしょう。しかし、映画としてはトータルバランスが良く、質も高いためなかなかオススメです。映画館で観ても良いレベルでした。
[★★★☆☆] (3/5)
■関連リンク
・「エミリー・ローズ」公式サイト
http://www.sonypictures.jp/movies/theexorcismofemilyrose/site/
・「エミリー・ローズ」公式ブログ
http://blog.excite.co.jp/emilyrose/
トラックバック(0)
このエントリーのトラックバックURL: http://opus77.net/mt6/mt-tb.cgi/468
・無関係な内容のトラックバックは削除いたします。
掲載した画像は、公式に使用が許可されている物です。念のため。
http://blog.excite.co.jp/emilyrose/1043596/