2007年9月16日 日曜日
2006年ベネチア映画祭で栄誉金獅子賞を受賞した、奇才デヴィッド・リンチの新作「インランド・エンパイア」をチネチッタ川崎で鑑賞しました。前作「マルホランド・ドライブ」の流れをくみながらも、より難解な大作でした。
内容は、女優の主人公が映画撮影の過程で、自分と役、現実と虚構、過去と現在の境界を見失っていく...といったもので、大きく分けて4つのパラレルワールド構造になっています。観客の我々もこの混乱に巻き込まれていくのです。
デヴィッド・リンチの映画は理解と不理解のぎりぎりの線を漂い、精神分裂か夢遊病の世界のようです。ある程度の伏線はあるが空間・時系列を超越して配置されており、また、伏線や各シーンが一見無作為に作られているようだが、ストーリーの軸足は作為的な規則性をもって配置されています。これは、撮影時点で脚本が完成しておらず、リンク(伏線)となるキーワードやアイテムをとりあえず配置し、最終的には編集工程で仕上げていく手法の産物と考えられるのですが、絶妙な不条理感と整合性を含む、立体感のある作品になっています。実際のところ、観客の想像力でこれらの要素が補完されて、完結する作品と言ってもいいでしょう。
よくリンチの映画は「全く意味が分からない」と言われます。最初から内容が破綻している前衛映画は考える気も起きませんが、微妙につじつまが合いそうあたりが、そう言う言われるゆえんでしょうね。よく考えれば説明がつきそうだが、どうもぼやけている。それが、リンチの迷宮です。
下品な表現や全く不要と思われるシーンもありますが、いかにも思わせぶりなシーンが続くあたりは、これぞ映画と感じます。また、サウンドや映像の独特な表現が、匂い立つような濃密さを持っており、商業映画の世界でこういう監督が存在している事は素晴らしいと思います。5つ星としたいところですが、万人向けでなく、やや長いとも感じたので、星4つ。
[★★★★☆]
・映画「インランド・エンパイア」公式サイト
http:/www.inlandempire.jp/
・デヴィッド・リンチ公式サイト
http://www.davidlynch.com/
・チネチッタ川崎
http://www.cinecitta.co.jp/
AXX°N-N,
トラックバック(0)
このエントリーのトラックバックURL: http://opus77.net/mt6/mt-tb.cgi/533
・無関係な内容のトラックバックは削除いたします。
ブログランキングご参加〔相互リンク〕のお願い
サイト名:タイムブログランキング
URL:http://www.time-ranking.com/
はじめまして、「タイムブログランキング」管理人の水本と申します。
先日、BLOGランキングサイトをオープン致しました。
現在ご参加いただけるブログ様を募集しております。
ランキング参加はもちろん無料です。
是非、貴ブログ様のご登録をご検討下さい。
よろしくお願い致します。
コメント欄をお借りしてのご案内をお許し下さい。
※検索サイト・ランキングサイト等より訪問しております為、
重複してのご案内になりましたらお詫び申し上げます。