2008年7月27日 日曜日
人類の滅亡は、意外とこんな形でやって来るのかもしれない。シャマラン監督の最新作です。公開初日にいつものTOHO CINEMASで鑑賞。今回も良い意味で万人向けではありません。
同監督のこれまでの作品は閉鎖的な空間や関係を描き、陰鬱で湿ったイメージの強いのが特徴でしたが、今回は移動・屋外シーンが多く開放感を強く感じます。いままで必ず撮影場所にしていた、監督の育った古都フィラデルフィアと決別し、また、風がテーマになっていることが雰囲気に大きく影響を与えていると思います。ただし、個の視点での描き方や情報伝達の欠如、根底に流れる喪失感など、シャマランらしさの重要なポイントは変わっていません。
--以下、ネタバレ注意。鑑賞前は読まない事をオススメします。
ハリウッドに環境を置きつつも、自分の作風を貫徹するためにはディズニーの誘いも断るなど、インディペンデントな作風のシャマラン。今回もシャマランらしさは発揮されていますが舞台がきわめて現実的なため、これまでのファンタジックで異次元な雰囲気はありません。冒頭の展開の早さも従来作品にはなかったものです。また、印象的なカットはところどころにあるものの、屋外が舞台のせいか芸術を感じさせる画作りは減ったように思います。
僕は好きですが、こてこてのハリウッド系災害映画を期待した人には評価されないでしょう。喪失と人間性の回帰を感じさせるあたりはいかにもシャマラン作品なのですが、今回、大どんでん返しがなく、恒例の監督本人の出演がなかった(声だけ出演しているらしい)のが寂しい。シャマラン監督が変化期のど真ん中にいる...と想像させる作品です。
人間がこのままのペースで排出を続けていると、自然界から何らかの形で報復を受けるかもしれない。科学的説明はオブラートに包み回避されていますが、現実として起こりうるのではないかと考えさせられる作品です。エコロジーが叫ばれている今、狙ってか偶然かわかりませんが、非常にタイムリーなテーマと言えるでしょう。
次回作にさらに期待ということで、抑えめに星3つ[★★★☆☆]
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