2008年9月28日 日曜日
ウォンテッド 【VALUE PRICE 1800円】 [DVD]
「ナイト・ウォッチ」、「デイ・ウォッチ」で一躍有名になったロシア人監督ティムール・ベクマンベトフのハリウッド進出第1作。シリアスに偏らず、力を抜いた軽妙な演出と脚本が良い意味で「ファイト・クラブ」に似た作品です。
この作品も、最近ハリウッドで乱発・乱造されているアメコミの実写化の一つです。近年、アメコミ原作作品が多数製作されているのは、安定した興行成績が見込まれ、予算確保がしやすいことが理由ですが、原作の大きな主題の中で独自の解釈を行い、再構築するのが最近のトレンドになっていますね。最近では「ダークナイト」もそういった作品でした。
ナイト・ウォッチシリーズは観ていないのですが、光と闇の戦いを描いた、陰鬱さの漂うダークファンタジー作品だったと思います。しかし今回は、超常現象的な演出は引き継ぎつつも、青年の自己実現と成長の物語を主軸にすえることで、前向きで爽快感のある万人向けの作品になっていますね。また、同監督の作品は「マトリックスを超えるCG革命」などと言われていますが、スタイリッシュなアングル・編集がアイデアに満ちていて、なるほどと思わされました。どんなにCGが発達しても、イマジネーションがなければ単なる現実の再現ですからね。
最後に、あまり触れませんでしたが、アンジーやモーガン・フリーマンは重みのある演技で素敵ですね。ダニー・エルフマンの音楽も、揺れ動く調性が主人公の心情をうまく表現していて、深みがありました。
さて、跳ね橋を渡ったら、我々も秘密の暗殺組織「フラタニティ」の一員です。いちいち細かい部分に突っ込みを入れず、作品のグルーブに身を委ねれば、心地よい爽快感が得られることでしょう。それが、この手の大味な作品の楽しみ方です。この監督、今後が非常に楽しみです。
星5つ[★★★★★]
- 関連リンク -
・『ウォンテッド』 CHOOSE YOUR DESTINY! (公式サイト)
http://www.choose-your-destiny.jp/
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