2009年5月 6日 水曜日
「トレインスポッティング 」や「28日後...」などでおなじみのダニー・ボイル監督の「スラムドッグ$ミリオネア」を観てきました。いまさら説明不要と思いますが、2009年の第81回アカデミー賞で8部門を受賞した、とてもパワフルなエンターテインメント作品です。それにしても、ダニー・ボイル監督は作風が幅広いですね。イギリス人監督ということで、ハリウッドに毒されていないところもいい。
舞台はインド。なぜスラム育ちの主人公ジャマールは「クイズ$ミリオネア」を勝ち進むことができたのか。嫌疑をかけられたジャマールは警察へ連行されてしまう。TVスタジオでのクイズとクロスオーバーしながら明らかになる、その生い立ち。
貧困にまみれ混沌とし、善悪よりも生きる事が重要なスラム街。インドは映画産業を国策化している事もあり、これまで印象の悪いスラムでの撮影は許可されることはなかったが、本作は現地ロケが敢行されており、急成長国家の闇の部分が描かれている。作品の中では、インドの成長と少年たちの成長を一体として描かれていて、陰と陽の矛盾を抱えながら成長する姿は国も人も一緒だと思わされる。このように、どう考えても重く暗い状況設定なのだが、ボーイミーツガールの要素を加え、希望のあるサクセスストーリーに昇華したところにこの映画の価値がある。また、行く当ての無い旅・人生は、ロードムービー的な見方をすることもできる。娯楽作品なので都合よく展開する所もあるが、嫌味は無く、伏線の張り方も良い。
スラムドッグ・ミリオネア (名作映画完全セリフ集スクリーンプレイ・シリーズ)
世界中で良く知られているクイズ番組をテーマにすることで、導入部をスムーズに展開すると同時に、娯楽性を発揮できていて興味深い。また、急成長を遂げるムンバイが非常に印象的に描かれていて、(誇張があったとしても)単なる娯楽作以上に訴えかけるものがある。
日本では、主人公の経験に直接的に共感するような状況にはあわないでしょうが、理不尽な経験や、それにめげない誠実さや信念、逞しさなどには人間として共感を覚え、自身の希望を投影することができる。彼らのみなぎる生命力を表現した、高揚感のある映像と音楽も素晴らしく、良く出来た娯楽作だった。
今、この映画を観ないでどうするの?
星5つ[★★★★★]
- 関連リンク -
・スラムドッグ$ミリオネア(公式サイト)
・ダニー・ボイル(Wikipedia)
・ムンバイ(Wikipedia)
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みのさん出てないなら観てみたい。
みのさん出てても観たい。絶対、笑っちゃうけど。
ちなみに、司会役の人はギャラを全額寄付したらしい。えらい!