2010年1月25日 月曜日
ヒース・レジャーの遺作「Dr.パルナサスの鏡」を観てきました。ヒース存命中に未撮影だった、鏡の向こうの世界のシーンをコリン・ファレル、ジュード・ロウ、ジョニー・デップが代演することで完成にこぎつけた貴重な作品。現実シーンを撮り終えていたのは、不幸中の幸いでしたね。ちなみに、協力した3人は出演料全額をヒースの娘に寄付したそうです。
ストーリーは公式サイトをご覧いただくとして、感想を。
いかにもテリー・ギリアム監督という感じのダークファンタジーで、美しく、皮肉っぽく、切なく、混沌と調和が入り乱れた作品です。現実感はないけれど、人間臭く、人生の夢・嘘・欲望を笑い飛ばしたような映像とストーリー。鏡の向こうの世界は、本当に素晴らしい映像です。ヒロインのリリー・コールも美しかった。
Dr.パルナサスはテリー・ギリアム監督本人を投影しているようです。鏡の向こうの世界は、ギリアムが紡ぎ出す映画の世界。鏡の世界で自分の願望を投影し、幸福や価値観の選択を迫られ、うろたえるのは観客の我々というわけです。入れ子構造ですね。
獲得人数に勝負を賭けたり、物語を語り続けることで世界が回るという発想も、映画の比喩として成立する。ということは、悪役のMr.ニックが示すのは、ライバル監督や、監督自身の負の面(妥協・商業主義への迎合など)のメタファーなのかもしれません。テリー・ギリアムの脳内を観た気がします。
アイロニカルな美しさで、強烈に記憶に残ってしまうのが、テリー・ギリアム作品なんですよね。いい意味でブレません。今、このような深みを持った作品・監督は貴重です。
星4つ[★★★★☆]
- 関連リンク -
Dr.パルナサスの鏡 公式サイト
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